ケンジ
ハ~イ今日は、理科の時間で~す。
光の三原色は何?
答え;赤・黄・緑
では、色の三原色は何?
答え;赤・黄・青
おお、色の三原色は、信号機の色ですねエ。
さて、本日登場して頂くのは、
色の魔術師である。
その魔術師は、私達に
ケンジと呼ばれている。
フリークライミングをたしなむ、仲間である。
職業を聞かれれば、<塗装業>と応えるだろう。
いわゆる、
ペンキ職人である。
そのペンキ職人には、特殊な能力が備わっている。
いや、備わっている事を発見したのだ。
石丸「塗ってくれるぅ?」
ケンジ『いいよ』
事務所の駐車場の壁の塗装を依頼したのである。
当日、現場に現れたケンジの車には、
ペンキの缶が
5缶だけ乗っていた。
石丸「どんな色でもいいの?」
ケンジ『ありとあらゆる』
石丸「でも、ペンキの缶、5缶しかないよね」
ケンジ『5缶でいい』
石丸「ほんじゃ、あそこの葉っぱの色」
ケンジ『へい』
なんと、ケンジはその5缶のペンキを、
ちびっとづつ混ぜ合わせ、黄緑色の微妙な色を見せてくれたのだ。
石丸「ほんじゃ、このミカンのだいだい色」
ケンジ『へい』
あっと言う間に、完璧なそっくりの色を作り出した。
そこで、5缶の中身を問うた。
《
赤・黄・青・白・黒》
色の三原色 プラス
白と
黒だ。
ケンジが語る処によると、この5つの色で、
我々が、目にしているすべての色が作れるのだと言う。
試しに、
おかしな色を要求したら、
すぐに、
おかしな色を作ってくれた。
石丸「その
ペンキの微妙な調合は、どうやってんの?」
ケンジ『勘』
石丸「カン?・・誰に教わったの?」
ケンジ『いつの間にか』
石丸「誰でも出来るの?」
ケンジ『どうかな・・』
石丸「出来ない色はないの?」
ケンジ『あるよ、
金と銀』
石丸「なるほど、オリンピックは無理なんだ」
ケンジ『オリンピックは関係ないよ、
銅は出せるもん』
石丸「じゃさ、ケンジが絵を描いたら凄いだろうネ」
メンジ『ダメだよ』
石丸「なんで?」
ケンジ『オレ、絵ごころネエもん』
魔術師は、残念ながら芸術家を目指していなかったのであった。