《ケシゴム理論》
小中学生の頃を思い出してみよう。
あなたは教室の中で、机に向っている。
鉛筆で文字を書き、間違えたらケシゴムでゴシゴシ消す。
そのケシゴムは、新品で買った物だ。
長さ4×2cm、厚さ1cm。
ゴシゴシ。
ふと、隣の友人が使っているケシゴムが気になる。
(小さいな・・)
友人は、親指と人差し指で摘むようにして、
サイコロ状のケシゴムをゴシゴシやっている。
(なぜ、あんなに小さいモノを・・)
そこで、声を掛ける。
「イシマル君のケシゴムって、随分小さいね」
言われたイシマル君がキョトンと顔を上げる。
『小さい・・?』
「もの凄く小さいじゃない」
『えっ、だって、
新品だぞ』
イシマル君は、そのケシゴムを新品だと信じているのである。
買い求めて、数か月が経っているのだが、本人にとっては、
新品なのである。
毎日少しづつ減っていくものだから、
小さくなっている事に気づかない。
古くなっている事に気づかないのである。
そして、回りの人のケシゴムと比較してみて初めて、
愕然とするのだ。
つぶやく。
(言われるまで、気づかなかった)
この理論を私は、《ケシゴム理論》と呼んでいる。
ケシゴム理論は、生活の様々なモノに及んでいる。
例えば、マイカー。
新車で車を買った方に、お聞きしたい。
貴方の車は新車ですか?
殆どの方が、そうだと応えるでしょう。
しかし、そう応えた方の中には、
7年だの10年目だのの方もいる筈だ。
車はいつまで経っても、ついこの間買ったモノなのだ。
さっき、チンと鳴らした電子レンジ。
それは、新品ですよね。
いや、新品と思ってますよね。
何年経ってますか?
これこそ新品と思っている炊飯器。
どうです?何年目ですか?
携帯電話はいかがですか?
ついこの間買い換えたばかりですよね。
でも、
ついこの間って、どの位以前ですか?
あなたが、今履いているスリッパ。
目の前のパソコン。
窓にかかるカーテン。
座布団。
ありとあらゆるモノが、ケシゴム理論の餌食である。
そして、この理論の卓越しているところは、
例え、そのケシゴムは小さいヨと指摘されても、
暫くすると、小さい事を忘れて、
再び、新品に戻るのである。
ケシゴム理論の応用;
<いつまで経っても親にとって、子供は小さいままなのだ>
幼少のけんじろう君