ウサイン・ボルトが、100mを9.58で駆け抜けた。
世界中が、どよめいた。
会場だけでなく、世界中のテレビが揺れ動いたその時、
私はある人物が、気になって仕方が無かった。
100mを駆け抜けたそのままの勢いで、
ビクトリーランを続けるボルトの姿を、
トラック内にいた
スチールカメラマンが、
走りながら追いかけ、シャッターを切っていたのだ。
流して走っているとは言っても、
ボルトのスピードは半端じゃない。
そのすぐ横を、横ばしりしながらシャッターを押すカメラマン。
赤いTシャツで
小太り、スキンヘッドである。
カメラマンという商売柄、
対象物を追いかける習性があるとはいえ、
ボルトの顔を捉える為に、懸命に前面に回り込もうとしている。
速い!
世界中が驚いている瞬間に、このカメラマンのスピードに
驚かされたのだ。
お前こそ、速いじゃないか!
アレを思い出してしまった。
山岳冒険記録映画で、非常に険しい岩場を登っている山男を、
前から後ろから撮っているカメラマン。
クレパスを渡る山男を下から撮っているカメラマン。
君の方が凄いんとちゃうんかぃ
あの小太りのカメラマンが撮った写真を是非見てみたいナ。