朝起きたら、今日が
定期健診の日だったことを思い出した。
病院に行くのが、ことのほか嫌いな私は、
いっきにブルーになった。
そして、病院にたどり着いた私は、ある事実に気づき、
ブルーを通り越して、アイ色に変色したのだった。
昨日の夜、風呂上りに、何気なく下着のパンツを履いた。
それは、一年ぶりに履くパンツだった。
たまには履いてみようと、意味無く思ったのだ。
それが・・・
<
相撲パンツ>
以前、両国に行った折、ふざけて買い求めたモノだ。
履くモノと云うより、
冗談で飾るモノ的な扱いしかしていなかった。
その証拠に、夕べ足を通したのが2度目だ。
「こちらで、お着替えください」
病院の検診待合室で、お着替えてる最中、ふと
下半身に目がいき、しばし言葉が出なかった。
(ど・・どうしよう?)
一瞬、逃げ帰ろうと思った。
よりによって、こんな日に!
世の中には、変わった下着を着けている御仁もいるだろう。
しかしである。
病院で検診を受ける日には、
あえてマトモな下着を着けてくるのではないだろうか?
なのに、この相撲柄のパンツである。
「は~い、腹部周りの測定をしますネェ」
いきなり最初の検査から、パンツを見られる羽目になった。
看護士の若い女性が、
ガウンをハダケなさいと言う。
腰の向こうにメジャーを回し、腹のところで交差して、
腹回りを計測している。
のこったのこったの力士が目の前にある。
気づかない筈がない。
彼女は思ったはずだ。
「コノ人は、
普段からこんなパンツを履いているのネ。
じゃなかったら、今日は、あえて見せつけようと、特別に
<
勝負パンツ>を履いてきたに違いないワ。
ふ~ん、このデザインが、この人にとっての勝負なのネ」
ガ~~~ン!
違うってバ~、おいらは一年ぶりに履いたんだって!
こんなの気に入ってないってバ~!
検診の次の部屋でも、次の部屋でも、言われ続けた。
「は~い、ガウンを脱いでくださ~い」
(うううぅぅっ・・)