<狛犬> こまいぬ
神社の入口の両側に、ドスンと座っている狛犬。
口を開けたのと、閉めたの。
基本的に石で出来た重い奴。
子供の頃に見たそれは、怖かった。
犬とは名ばかりで、御神楽に登場する 鬼に似ていた。
肝試しに、口を開けた方の狛犬の口に、
手を突っ込んでみる遊びが流行ったほどだ。
そお~っと、手を差し込んだ瞬間に、誰かが、
ギャアア~!
っと大声を出して怖がらせたもんだった。
慌てて引っ込めた手の甲に、狛犬の歯が引っ掛かり、
擦り傷を拵える子供までいた。
けんじろ君だ。
けんじろ君も、もう大きくなり、
昨日は海の傍の神社にお参りしていた。
そして、冒頭の写真の狛犬を見つけたのだ。
怖い顔をした狛犬も、背後に回ってみると、
可愛い間抜けな犬である事が解る。
首にスカーフなど巻かれて、この犬は、
じっと、見ているのだ・・・<海>を。
海に思いを馳せているのだ。
ん・・?
狛犬の目線を追っていくと、海岸に色鮮やかな
赤と白と青の家が建っているのが見える。
フランス料理屋だろうか?
オリーブとバターの香りを想像し、
彼は、涎を流しているのだろうか?
犬のけんじろ君は、すぐに、行ってみた。
しかし、それは フランス料理屋ではなく、ただの家屋だった。
残念だったね、狛犬くん。
by ishimaru_ken
| 2009-09-17 08:31
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