初体験であった。
盲点であった。
観光バスの
二階席の一番前に座ったのだ。
これまで、列車では、小田急線のロマンスカーなど、
運転手より前の席には座った事があった。
しかし、バスでの経験がなかったのだ。
座席に腰を落ち着けるなり、その
意外な高さに驚いた。
人は、乗り物を見た時と、乗った時で、
その高さの感覚に
意外さを感じるらしい。
馬に初めて乗ると、誰もが、
「うわあ~高~ぁい!」と声を発する。
これは、乗っている人を見た時には理解できない感想だ。
人は、ゾウに乗ると、誰もが、
「うわあ~二階より高~ぁい!」と声を発する。
これは、ゾウの高さを甘くみているからだ。
(ゾウには、あまり乗らないか・・)
そう! バスの二階は高いのだ。
みんな
甘くみているのだ。
隣に、トラックが停まったが、運転手がこちらを見上げている。
よし、いい気分だ。
隣に、路面電車が停まったが、パンタグラフの高さに私はいる。
ちょっと、怖い。
その高さの一番前の席に座っているのだ。
目の前にフロントガラスがあるだけで、
視界は広大に広がっている。
一階にいる運転手から声がかかる。
「シートベルトして下さいネェ、なんかあったら、
跳び出しますからネェ」
おいおい、なんかあったら、いかんだろ。
慌てて、しっかりと、ベルトを締める。
景色が次々に飛び込んでくる。
バスというより、飛行船で飛んでいる感覚だ。
こうなると、アレとアレが欲しい。
<ハンドル> と <アクセル>
ところで、東京を走っているハトバスは、自由席なのだろうか?
二階の一番前は、争奪戦なのだろうか?
月光仮面の像