小学生のけんじろう君は、カエルを捕まえて、
お尻を覗きこんでいた。
やには、藁のストローをカエルのケツに突っ込み、
息を吹き込み、お腹をパンパンに膨らませたのである。
この悪行非道な行いは、けんじろう君を始め、
当時の小学生のアホな遊びであった。
遊びだからと云って許される事柄ではないが、
大人は、それを見て言ったものだ。
「そげんコツしよると、
いつか仕返しされっぞ!」
声に力が無かったところから察すると、自分も昔やったのだろう。
時は流れて昨日、私は、病院にいた。
年に一回の検査入院である。
<大腸検査>
大腸ガンが、世界一多いと言われている日本人。
当人自覚が全くないと言われる大腸ガン。
「は~い、横になって下さ~い」
『え~と、センセ、僕まだ麻酔とかされてないんですけど・・』
「ええ、しませんよぉ~」
(げっ、麻酔しないんだ)
「はい、入りますよ~」
ガ~~~ン!
おケツから、胃カメラみたいなのを突っ込むというのだ!
イヤだイヤだ!
ほんげっ・・
「はい、力を抜いてえ~」
(抜けまへ・・ん)
「はぁ~い、空気入れて膨らましますからねえ~」
なあ~んだとぅ?
膨らますだとぅ?
おお・・おおお!
空気が入ってくる!
どんどん膨れてくるぅ~!
うぅぅ苦しいぃ、センセ苦しいぃ・・
「もうちょっとですからねぇ~」
そのセンセの言葉が私には、
違って聞こえた。
《もっと膨らますからねぇ、パンパンにしてやるからねぇ》
「センセ、苦しいってば」
《そう簡単にはストローを抜いてやんないかんねぇ》
「た、たすけて・・」
《あははははは~》
子供たちよ、カエルに悪さすると、
確実に仕返しされっぞ!