<ひょうたん祭り> とは何ぞや?
又々、大分県の奇祭に行ってきた。
大分県に、千歳町(ちとせまち)という町がある。
行ってみると、町というより、村と敢えて言わせてもらう。
さほど、穏やかな村だ。
二階建てのウチが、あまりない。
村の神社から、神輿が繰り出すのだが、その前に、獅子舞が舞い、
流鏑馬(やぶさめ)の馬が、とぼとぼ、そして、先頭に
<
ひょうたん様>という方が、歩いてゆく。
その出で立ちが変だ。
真っ赤な衣装に、手には生のサカキを杖代わりに持ち、
頭に、ひょうたんで作った顔人形を括りつけ、
なにより、足だ。
履いている
ワラジがでかい。
幅、60㎝、長さ1m以上ある。
重さも片足、10キロ。
それで歩こうってんだから、一歩一歩が、えれえ大変だ。
おまけに、ひょうたん様は、歩きだす前から、
お神酒を、たんと呑んでいる。
歩いている最中も、グビグビあおっている。
時は、真昼間だ。
ひょうたん様は、肩から大きなひょうたんを抱えている。
その中に、お神酒がたっぷり入っている。
沿道を取り巻く群衆は、サカズキを差し出し、
ひょうたん様から、お神酒を注いで貰うのだ。
そのお神酒を呑めば、来年は、健康でいられると云うワケである。
ドズンっドスンっ・・大きなワラジを持ち上げ、
引きずり、進んでいく。
ひょうたん様に選ばれたのは、
63才の翁だ。
片足に10キロの重りをつけ、ベロベロに酔っ払いながら、
数百mの沿道を、のし歩いてゆく。
10歩進んでは、息を整える為に立ち止まり、
酒をグビグビグビ・・
もうすでに、
酒一升は胃袋に流れ込んだと思われる。
それでも、足を持ち上げ、突き進む。
顔面は真っ赤に染まっている。
回りから差し出されるサカズキに、
丁寧にひょうたんから注いでゆく。
当然、私もサカズキを差し出す。
ドボドボ
グビグビ、
呑みながら見上げると、真っ青な空の中に、トンビが浮いている。
軽やかな太鼓の音が、稲刈りあとの田んぼに響き渡り、
変な祭りは、いつまでも続くのであった。
(ひょうたん様は、祭りの後、
夜遅くまで飲み続けたそうである)