気仙沼沖の大島
<ホヤ>
どう思います? ホヤ。
好きですか? ホヤ。
食べますか? ホヤ。
「ホヤが好きで、3日食べないと悶絶してしまう」
という人の気持ちがわからない。
こう言うと、
八戸の方に叱られそうだが、
ホヤを旨いと思った事のない私にとって、
ホヤの存在が理解出来ない。
ホヤの生を口に放り込むと、ピリリと舌がシビレル。
柿の渋に似たしびれ方をする。
「それがうめえんだぁな」
と
釜石の方は自慢するのだが、
シビレル食い物は腐っている食い物だと学習してきた私としては、
その意見は呑みこめない。
ホヤも呑みこめない。
「あんた、新鮮なホヤを食ってねえからじゃあ」
と
気仙沼の方に、指摘される。
だが、これこそ採れたてのホヤを、食してみたのだが、
ピリリと舌を刺すシビレ感は、変わりない。
私の身体が、危険だと信号を発している。
「ホヤは、ビールで食うと旨えな」
と
石巻の方は仰る。
はい、ビールで食ってみた。
うわああお!
シビレ感が倍加した。
ピリリが、ピリリリリリリになった。
「どうじゃ、うめえじゃろ」
と、
塩釜の方も追い打ちをかける。
もうガマン出来ない。
「すみません、このホヤをテンプラにして下さい」
大分の方である私が、板さんに注文する。
「なんてことするだ!」
宮古の方が怒り出す。
苦いモノをテンプラにすると旨くなる・・
という説があるような気がする。
フキノトウしかり、春菊しかり。
「どうぞ」
出されたテンプラをガブリとやる。
ほお~旨いじゃ~ん!
渋みと苦みがすっかり無くなり、旨みに変換されている。
「ホヤを、そったら食い方すっと、わがんねぞ」
(※わがんねぞ=だめだぞ)
松島の方に、やんわりたしなめられた。
大島のフェリー乗り場