~昨日の続き~
夕食バイキングにひとりで、立ち向かっている私だ。
<バイキング=食べ放題>
と勘違いしている日本人の代表だ。
<死ぬほど食べよう!>とも意訳している私だ。
そして、更なる勘違いをしていた。
<飲み放題>
すべて、自分で酒類を注いで飲んでいいと云うのだ。
ほお~ソですか。
スックと背筋を伸ばして、まず、ビールコーナーに向かう。
マシンの前に立つ。
グラスをマシンに乗っけて、ボタンを押すらしい。
すると、グラスが傾き、適度な泡を生じながら、
ビールが注がれる。
見事だ。
CMに使われる様な、ビールジョッキが出来上がった。
テーブルに戻る。
グビグビ
さて、次は、赤ワインにしますか。
小さなワイングラスに、
数種類のボトルから、一本取り出し注ぐ。
テーブルに戻る。
グビグビ
すぐに無くなる。
注ぎに行く。
戻る。
グビグビ。
ええい、面倒くさい、
ビールジョッキに入れちゃえ!
ドボドボドボ グビグビグビ
・・しばしの時間が過ぎた。
ふ~む、困った。
ワインをどの位飲んだのか、分からなくなった。
普段、私は、
ボトル一本ほど飲む。
ところが、ここでは、おおやけの場に置いてあるボトルから、
注ぎ足し注ぎ足しするセイで、
全体量が測れないのだ。
腹にも料理を、普段以上に詰め込んでいるセイで、
酔いのレベルが、判断出来ない。
いったい、私は
酔っているのか、
それとも、まだ
呑み足らないのか?
そんな時だ、肩ごしにウエイターの甘い言葉がかかった。
「あちらで、カニが茹で上がりました」
ヨロリと立ち上がり、歩き出す私。
カニがテーブルに並べられている。
半身ずつに切られている。
「あれ?このカニは変だぞ、半身なのに、足が10本ある。
ツメも2本あるじゃないか」
カニを取ろうとして差し出した私の右手も、
2本あった。