台所の流しの水が流れてゆくアノ場所ってあるよね。
何と呼ぶのか定かでないのだが、
汚いゴミが集められて、漉し網や、漉し器で漉しとられてゆく
イヤ~な場所だ。
アノ場所を掃除するのが、好きな人がいる。
私だ。
私達だ。
男共は、総じて、
アノ部分の掃除が好きだ。
75%は好きだと答える。
少なくとも、私が4人に訊いたところ、3人から、
良好な答えが返ってきた。
「好きだねえ!」
金タワシを持ち、あの部分を覗き込む。
中から、プラスチックの中アミを取りだす。
何かのカスがこびりついている。
洗剤をぶっ掛ける。
ゴシゴシやる。
さらにその奥の、
怪しい部分に手を突っ込み、
ゴシゴシやる。
見るのもイヤな汚わい部分が、キレイに磨かれていく。
「男の子が、そんな所、掃除なんかすると、
立派な大人になりませんよ!」
立派な母親が、お叱りごとを言う。
(いいもん、立派にならなくったって)
けんじろう君は、心の中で、下唇を突き出しながら、
悪態をつく。
(この汚い所を、掃除したいんだあ~)
本当は、汚くて触りたくもなく、おぞけを振るう場所なのに、
なぜか、男共は、キレイにする事に、
喜びを感じている。
『いんや、俺は、感じてねえよ』
という方は、
25%の枠内の方なので、
むしろ異端だと、思って下さい。
少数派だと、悲観して下さい。
おぞけも振るう楽しみを生涯味わえない残念な方だと、
がっくり肩を落として下さい。
おまけに、奥さんから、
「なんで掃除してくんないのよ!」
とナジラてしまう可哀相な方なのだ。
「よその旦那さんは、みんな洗ってくれるらしいわよ!」
『いや・・4人にひとりは・・』
「いいから、洗っといてね」
多数派になれなかった寂しさに、打ちひしがれるのだ。
子供の頃に、立派な母親の
いいつけを守ったばかりに、
こんなハメに陥ったのだ。
さあ、今からでも遅くはない。
流しのアノ部分を洗おう!
(名前は何だろう?)