昨日のロケには、電車で向かったのだ。
片道2時間の通勤だった。
教訓;悲劇はどこに転がっているかわからない。
まず、本屋に行った。
面白そうな小説があったので、購入した。
電車に乗る。座る。
喜び勇んで、カバンを開け、文庫本を取り出す。
列車の中で小説を読むのが、殊のほか好きな私だ。
さあ~て、始めますか~
表紙をピラリと、メクッた。
ガアアアア~~~ン!
そこにあったのは、こんな文字。
(
下 )
下巻?
コレは下巻なの?
上巻があったの?
おいらは、本屋の平積に並べてあったモノを手に取ったのだ。
上巻があれば、気付いた筈だゾ。
上巻だけ売れちゃってたのかい?
うう・・
読むべき本が無い。
何をして2時間過ごせばいいのだ。
「大変ご迷惑を・・」
ん・・?車掌さんが何か言ってる。
何だって?
架線故障で、電車、遅れてるってかあ~
うう・・本が無い。
待てよ・・無いわけじゃないナ。
下巻とは言え、立派な本だ。
どうだろう?下巻から読むってのは。
昔、まだ映画館が入れ替え制でない頃、チケット買って入ったら、
上映途中だった事がある。
ま、いいかと途中から観始め、観終わった後、
オープニングから観たのだ。
犯人を知りながら、サスペンス活劇を鑑賞したのだ。
それはそれで、面白い観方ではあった。
創られた監督さんには、申し訳なかったが、
新たな発見をした感もあった。
どうだろう?読書でも出来るだろうか?
そお~と下巻を開いてみる。
うわっ、<第16章>などと書いてある。
15章もすっとばすのかあ~
「大変ご迷惑を~」
まだ車掌は謝っている。
どうしよう・・?
作家に申し訳ないが、フライングさせて貰おうか・・
いや待て待て。
この小説が、生涯に3本の指に入る感動小説だったらどうする?
そんな勿体ない事をしていいのか!
よし、ガマンしよう。
2時間耐えるのだ。
「まもなく列車は・・」
(こら車掌、なんでこんな時に・・)