<芝桜>が大はやりである。
芝桜公園と名が付けば、大量の観光客が押し寄せる。
富士山の裾にある、芝桜もごたくに漏れなかった。
ごった返す観光客で、入場する前から、車の列が連なり、
延々の大渋滞を引き起こしていた。
その一翼を担った私が、辿り着いた駐車場には、
《三分咲き》の文字が・・
不安を抱きながら、歩みを進めると、
前方から、
帰ってくる客達とすれ違う。
見なくてもいいのに、ついその表情を見てしまった。
芝桜を見終わって帰る人々の
表情を見てしまった。
映画館が入れ替え制になって久しい。
あのシステムのおかげで、見終わった人達の表情を
いやでも見せられる事になる。
(はは~ん、つまらなかったんだナ)
(おお、みんな目が真っ赤だゾ)
(なんだなんだ?眉が吊り上って、鼻も膨らんでるナ)
まだ見ぬ映画の、凡その評価が知れると云うものだ。
さて、芝桜へ向かう道。
すれ違う人々の顔に、余韻がない。
笑顔がない。
スーパーのキャベツの値段の話をしているオバちゃんもいる。
これは、ただ事ではすまんゾ。
駐車場500円と、入場料500円払ったんだ。
いや、正確には、ジャフの雑誌を見せたら、50円引いてくれ、
ジャフカードを見せたら、更に50円引いてくれた。
計900円分、元が取れるだろうか?
辿り着いた。
う~んとネ・・
3分咲きネ・・
その基準がよくわからんが、
3分ネ。
ま、
サンブと知っていて来ちまったんだから、
文句は言えねえが、富士山がくっ付いているから、
まあ、良しとしようじゃねえか・・
皆、無理やり、
5分位には見える様に、写真を撮ってらっしゃる。
移動式足湯ってのもあったから、許そうじゃねえか・・
っと言いながら、帰りには、すれ違う行きの人々に、
はからずも、暗い顔を見せてしまうのだった。