相模湾横断③
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~一昨日からの続き~
「休憩!」
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もはや、三浦半島も見えず、目的地の伊豆半島も見えない、
相模湾の、ど真ん中で、我ら3人は、海面にプカリと浮いている。
伴走船が駆けつけてくる。
「何が欲しい?」
船上のナカヒラ君が、拡声器で呼びかけてくれる。
「水!」
魚釣り用のタモに入れた500mlのドリンクを差し出す。
受け取った私は、ライフジャケットに入れてある、
キャメルバッグに、そのドリンクを注ぎ入れる。
入れる筈だったのだが、外洋は荒れていた。
注ぎ口が瞬間的に波間に沈んでしまい、
どうやら、海水もドリンクと共に入った様な気がする。
(ま、いっか)
ま、いっかは、サバイバルでは通用しない事を、
後で知る羽目になる。
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しゅっぱ~つ!
この頃から、雲行きが怪しくなってきた。
雲ひとつ無かった快晴から、陽射しが消えたのだ。
その途端、風力がガクンと上がった。
風速が、6~7mに達する。
波が高くなる。
というより、うねりがきつくなる。
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お尋ねしたいのだが、
<波>を見た事あるよネ。
海水浴やらで、規則正しく押し寄せてくる波。
アレは、、波です。
我ら3人は、<外洋の波>を見てしまった。
「ナンじゃこりゃ?」
あっちゃから、こっちゃから、バッチャンゴッチャン!

<三角波>と云う言葉がある。
お風呂の湯船の中で、出鱈目に手を動かすと
そんな波が起きる。
その大規模になったのが、外洋の波だ。
そのセイか、このあと、写真がひとつも無くなる。
船がジェットコースター状態となり、
カメラを取り出すことすら出来なくなったそうな。

我々にとって悪い状況がひとつ加わった。
風向きが変わったのである。
それまで、南風だったものが、
南南西に向きが変わったのだ。
すると、どうなる?
一直線で伊豆の湯河原の海岸を目指していたものが、
相当の登り角度になってしまった。
つまり、途中で<タック>をしなければならない。
タックとは、風上に向かう方向転換である。
直線距離45キロが大幅に増える事になる。

さらに、条件が悪い方に進んだ。
風速が、8mに達したのだ。
8、5㎡のセールで走る風域ではない。
ましてや、波高がカサに掛かってデカクなった。
市内を走るバスほどの波が、押し寄せてくる。
時には、二階建ての観光バスをも、かぶさる様な波が現れる。
波の頂上に達すると、家の屋根に立っているような気がする。
反対に、波の底に滑り降りると、
すり鉢の底にいるような気分になる。
チン(水の中に落ちる)すると、ボードもセールもひっくり返り、
しばし、セールアップ(セールを立てるの)も難しい。

ヤスタニさんが、波間に苦しんでいる。
二階建てバスから崩れ落ちてきた波で、
セールのトップバテン(心棒)が折れてしまった。
 大畠さんの目が血走っている。
緩んだヒモが、うまく締め付けられずに、
波に翻弄されている。
一度、チンをすると、再び走り出すのに、
数分間の格闘を強いられる。
体力が、どんどん剥ぎ取られる。
(ここは、落ち着いて、水を飲もう)
自分に言い聞かせ、背中のキャメルバッグから、
チューチュー吸った。
ん・・?
ショッパあ~
スポーツドリンクが塩っぱい?
(あっ、さっき休憩の時の、《ま、いっか》の報いだあ)

時計を見ると、3時間が経過している。
フクラハギの悲鳴は、もはや無視することとなった。
ツルならツリやがれ!

見えたぁ!
真鶴半島が、波間に見え始めた。
ひと時、数百mも離れてしまった3人も、
100m以内に近づいて走り出した。
っと、どうした事か・・
天の恵みのように、海面がフラットになり始めたのだ。
海用語で言う、オフショア海面になってきたのだ。
我らは、夕日に霞む、真鶴半島に向かってひた走った。
ただただ、ひた走った。

イタリアンを食べながら、ヤスタニさんが語る。
「最後にあの夕陽に向かって疾走した30分・・
あの瞬間は何物にも変え難いネ」

 ワインを口にしながら、大畠さんが、つぶやく。
「波に何度もまかれ、海水を飲んでいた時、
  ああ、ここに来て良かったナと思ったヨ」

16;50
到着は、真鶴港にあがる。
港なので、直接あがれないので、船に引き上げて貰った。

ここで、お礼を述べたい。
 荒波の中、無理難題をいとも容易くこなしてくれた、
船長星野さんと息子の拓也君ありがとう。
 激しい船酔いになりながら、最後まで撮影を続けてくれた
立川君、ありがとう。
 そして、3時間40分に渡って、
大声で激励を送ってくれたナカヒラ君依田さん、ありがとう。

次のチャレンジャーは・・誰かな・・
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by ishimaru_ken | 2010-06-08 08:12 | スポーツ
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石丸謙二郎
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