<目覚まし時計>を選んでいる。
アナログからデジタルまで、
様々な目覚まし時計が陳列してある。
形状はさほど、選抜の対象にならない。
最も、気にするのは、やはり、音色である。
柔らかい音色で、だんだん音が大きくなるタイプを好む。
この店は、一応<お試し>が出来るようだ。
あれもこれも試してみる。
これもあれも、ダメな奴ばかりで、
私の
お目にかなう奴がなかなか出てこない。
っとそんな時、
「ボクを連れてって」
愛らしい音色で、呼び続ける目覚まし君が現れた。
大きさは両手に乗るくらいで、タイマーも掛け易い。
音量調整も出来るし、ぶっ叩きにも耐えれそうだ。
「これください」
さて、就寝前に、今夜初体験の、新参者をセットする。
「明日よろしくネ」
グウグウ・・・
ん・・・?目が覚めた。
なんか音がする。
ジャッコン、ジャッコン、ジャッコン・・・
我が心臓の音だろうか?
いや、
昼間には聞こえなかった時計内部の音だ。
電気仕掛けの機械が、動いている音がする。
ジャッコン、ジャッコン、ジャッコン・・・
うるさいゾ。
気になりだしたゾ。
いつか鳴り止むものではない。
「ボクを連れてって」の愛嬌はどこへいったんだ。
寝室中に響き渡る、
ジャッコンのパーカッション。
うううぅぅ~
すぐに、電気屋に走った。
新しい奴を物色した。
耳に押し付け、確認した。
うん、こいつなら、大丈夫だ。
ジャッコンが無い。
しかして、夜中。
な、なんだこの音は!
ジリジリジリジリジリジリ・・・
小さな機械が動いている音がする。
昼間には、決して聞こえなかった音だ。
静かな時に、少しだけ音を立てる君らって、
卑怯でないかい?
ううぅ、眠れん・・
君ら、揃いも揃って、黙っていられる奴いないのかい?
日豊本線 ソニック号