「あれっ、ETCカードがおかしい?」
車で、高速道路に乗る前に、ETCカードを機械に差し込む。
すると、女性の声が喋り出す。
『カードを受け付けません、エラーゼロサン』
えっ何?
壊れたの?
いったん引っ張り出す。
もう一度入れる。
『カードを受け付けません~』
え~~?どったの?
もう一度、やってみる。
『カードを受け付けません~』
駄目じゃ~~ん。
どうしたらいいんだろう?
車を路肩に止めて、家族にメールを送る。
すると、対処方法がすぐにメールされてきた。
「
カードを吹くと、受け付けられるかも」
ふむ、やってみるか・・
カードに付いている金色の部分に、
息を吹きつける。
ふ~~~!
入れてみる。
「ポ~ン、カードが挿入されました」
やった!
ほお、こんなもんでいいのか。
息を吹きかけるだけで・・
そのあと、帰りにも受け付けられなかったので、
早速息を吹いてやった。
「ポ~ン、カードが挿入されました」
うんうん、うまくいった。
家に帰ると、さっそく、
「いやあ、カードを
吹いたら、うまくいったヨ」
『えっ、
拭いたんでしょ?』
「いや、
吹いたよ、だってメールに、ホラ」
『あはは、変換まちがった』
ま、まちがったって?
でも、うまく働いたぞ。
そ、そんなもんなのか?
これはどういう事だろう?
人間思い込めば、すごい事が出来るという事だろうか?
中国の昔話に、たしかそんな話があった。
森の中で、トラに出会った男が、
必死の思いで弓をつがえ、ハッシと放ったら見事トラに当たり、
トラは、どうと倒れた。
ところが、冷静になって、よくよく見たら、トラと思ったのは
実は大きな岩であった。
男は、硬い岩に弓を突きたてたのである。
思い込みとは、かくも凄まじい力を発揮するのである。
という故事なのだ。
ふむ、トラ退治と比べるのは、お恥ずかしいのだが、
カードを吹いて立派に機能させた私も凄いと思う。
だってね、知っちまったあとは、
いくら
吹いても受け付けられなかったも~ん。