サバの話をしよう。
時折、サバの話をしないと、サバ好きの友人から、
「イシマルさんは、もうサバは見限ったんですか?」
お怨みのお便りが来てしまう。
そろそろ、サバの季節である
そのサバを水中で眺めた事があるだろうか?
真横から・・・
私はある。
ないと云うアナタは、水族館に行って、サバを見なさい。
きっと驚くに違いない。
銀色だけじゃ~~ん!
模様が、ほとんどないじゃ~ん!
このナゾの答えを解き明かそう。
サバは、我々だけの好物ではない。
魚たちは、みんな
サバが好きだ。
サバを生きたまま餌に使うと、大きな魚はすぐにとびつく。
サバの切り身を餌に使うと、イカでも、海底の魚でも、
もれなく、興奮する。
つまり、サバは地上でも、海中でも大人気なのだ。
その事を知ってか知らずでか、
サバはサバなりの護身術を身に付けた。
水中で見つけにくい色に、身体を染めた。
まず、魚体を3方向から見てみよう。
<真上から>
サバをサバたらしめている模様が見える。
深緑に、青を混ぜた色あい・・
そして、あの迷路のような紋様。
あれは、
上空から見た場合の水面を表現している。
水面のさざ波に似せた擬態と云っていい。
迷わせているのは、鳥である。
海面近くにまで浮かび上がるサバにとって、
鳥を目くらますのは、必死の作業だ。
<真下から>
好かれるサバは、真下からも襲われる。
したがって、海面に似た色で、
おなかの部分を隠さなくてはならない。
あの銀色は、
空が映る水面を擬しているのである。
<真横から>
問題は真横だ。
魚屋さんで売っているサバは、上半分が深緑模様で、
下半分が、銀色だ。
ところが、
海の中に潜ってサバを見ると、
ただの銀色の魚体が泳いでいるに過ぎない。
海水色の物体と言ってもいい。
「え~どういうこと?
あの模様はなぜ見えないの?」
ここにサバが太古の昔から見に付けた
<ウロコ>のワザが登場する。
魚には、殆どの魚体にウロコがある。
サバのウロコは小さい。
そのウロコの付き方が、興味深い。
アナタは、ウロコという物は、
魚体に沿って張り付いていると考えているでしょう。
ところが、顕微鏡レベルで観察すると、
ウロコは、全部、
垂直に立っているのだ。
サバを顔の正面から見てみよう。
仮に、ウロコを
窓ガラスに例えてみると、
《
すべてが垂直に嵌められている窓ガラス》
をイメージして欲しい。
身体の上方も、真ん中も、下方も、垂直だ。
すると、どうなる?
横からの光は、垂直のガラスに反射されるので、
身体の色ではなく、水中の色を反射するのである。
光が強ければ、銀色に・・
弱ければ、暗いブルーに・・
マジックで、テーブルの脚を消す仕掛けと同じだ。
結果、
サバは見えなくなる。
はい、サバくん良く出来ました~
拍手をしてやりたいのだが、
なぜか、サバくんは、よく食われる。
いとも簡単に発見されるのだ。
理由は、たぶん本人も解っていると思うヨ。
きみ!
動き過ぎだよ! 刺身でいただきます