<たきや漁>
知らなかった。
長年、浜名湖にウインドサーフィンで通っている私だが、
とんと聞いたことがなかった。
迂闊だった。
こんなに楽しく面白い漁があったとは・・
どんな漁か?
一言で表現すると、
魚をモリで突く漁である。
どちらかというと、狩猟と考えてもらって構わない。
ブルブルルルルルぅ~
エンジン音をたてて、平底船が浜名湖の水面を走る。
陽が暮れてからの出発。
客の定員は4人。
一艘、3万円(食事込み)
浜名湖の水深の浅いところに到着すると、
エンジンを切り、
長いモリを持った船長が、一人で操船する。
この漁の特徴は、
灯りだ。
船首に、電球を吊り下げ、水面下を照らすのだ。
「おお、見える、見える!」
水面下の地形がはっきりと見える。
水深が50cm~1mのところを、ゆっくりと流してゆく。
『ほらソコ、渡りカニがいるだラ』
「どこ?」
最初のうちは、全くわからない。
いると言われても、見よう見まねで、
モリを握ったまま、船首で立ち尽くすばかりだ。
ところが、次第にターザンイシマルは目が慣れてくる。
太古の狩猟本能が目覚めるのだ。
グサッ!
「船長!捕れました!」
『よし、ならば、黒鯛を突いてみな』
「へっ、黒鯛って、あのクロダイ?」
『ほらほら、そこ!』
関西ではチヌと呼ばれている黒鯛が、
水深1mあたりを散歩している。
グサッ!
「船長、突けました!」
『あんた、筋がいいだラ』
「タラもいるだラ?」
『ラは方言だラ、ほらそこ、アナゴ!」
グサッ!
「アナゴ、逃げましただラ!」
『よし、ならば、
サヨリを突いてみな』
ええ~~サヨリって、
水面近くを疾走するあのサヨリですか~?
もの凄く、スピードが速いと噂されるサヨリですかあ~
私の不安げな顔を横目に、突然、
船長のモリが飛んだっ!
こんな面白い漁、一日では書ききれねえダラ。
又、明日