<審判>
スポーツには、審判がいる。
レフェリーでもいい。
ジャッジと呼んでもいい。
では、アナタに問いたい。
審判のいないスポーツってある?
ある?
サッカー、ラグビー、野球、バスケット、バレー、ゴルフ、
水泳、スキー、相撲、柔道、K1・・・・
ないネ。
まずないネ。
そこで、登場するのが、我ら、ウインドサーフィンだ。
一言で言おう。
いない。
「え~~~いないんですかあ~!」
驚いたアナタだけに、教えてあげたい。
いないのだ。
いるには居るのだが、
現場にいないのだ。
現場とは、海上のマークがある場所だ。
ウインドサーフィンのレースとは、
海上にある
マーク(浮標)を回るのである。
そのマークを回る時に、数人の選手が、
時速50キロ以上で突っ込んでくる。
60キロを超えてもおかしくない。
当然、トラブルが起こる。
ブギャンコっ~!
激突だの、ひき逃げだの・・
数秒の間に、阿鼻叫喚の世界が出現する。
マークは、いくつもある。
そのすべてのマークの場所に、審判を配置できないのサ。
よって、審判が出来ない。
だって、海の上だもん。
遠くてよく見えないもん。
じゃあ、どうするのか?
ぶつかった同し、
「オマエがぶつかって来たんだろ!」
『ざけんな、優先権はオレにあるだろ!』
喧々諤々・・
ええ~~~じゃ、どうするのか?
5000円を握って、大会本部に走るのだ。
「プロテスト!」
直訳すると、「抗議」
自分が悪くないという説明を聞いて貰う代償が、
5000円なのだ。
で、自分の抗議が認められれば、5000円は返して貰える。
認められなければ、没収。
要するに、その場所で起こった事件の審査を、
その事件を見た選手たちで、
陪審員裁判されるのだ。
「イシマルさんに抗議します!」
『いや、ボクがネ、優先だと思ったのにネ、あいつがネ』
「え~、イシマルさんが悪いと思いますよ!」
『なんで?』
「だって、マークにぶつかって、
マークを、手で動かしてましたヨ!」
「それ、ボク見た」
「俺も見た」
「私も見た」
大会本部「5000円、お返ししま~す」