「温泉はいいわねえ、いつまでもポカポカ暖かくてぇ~」
温泉に浸かって出てくると、皆が皆、同じ言葉を吐く。
暖かい状態が長く続く効果を、賛美する。
「あ~ポカポカ~」
温泉とは、いつまでもポカポカするものだ。
というのが、世の趨勢となっている。
「ポカポカいらんわい!」
ここに反逆児がいる。
反逆児は、温泉に対してこう考えている。
「すぐ冷める温泉ないかネ?」
温泉から出てくると、
すぐ冷めて欲しいと願っている。
あがって、3分後には、寒くなりたい。
いつまでもポカポカなんてもってのほかなのだ。
理由は、簡単。
熱い風呂に入り、いつまでも火照っていると、汗が噴き出す。
せっかくお風呂に入ったにも関わらず、
浴衣がビショビショになる。
もう一回風呂に向かうハメになる。
もう一回風呂に向かうと、又、汗ビショになる。
すると、もう一回風呂に行くハメになる。
このお馬鹿な繰り返しをしている、汗かき人間イシマルなのだ。
そんな私の理想の温泉は・・・
<すぐ冷める温泉>
胃腸に効くだの、皮膚に効くだの、ガンにも効くだの、
効く系は、目いっぱい効いて頂いたあげく、
ポカポカは、やめて頂きたい。
すぐに冷めて頂きたい。
「おおっ、寒っ!ブルブル」
これが理想である。
「冷えたネ、じゃ、もいっかい入ろ」
これが理想である。
「ポカポカ」
もってのほかである。