さすがに、戦えなかった。
<バイキング料理のプロ>を自称するイシマルだが、
その夜は、プロのカンバンを降ろす覚悟を決めた。
場所は、地方都市の有名な老舗ホテルだと、
思って頂きたい。
まず、最初に言っておく。
このホテルのバイキングは優秀である。
家族や友人で行くなら、二重丸のホテルだ。
ただ・・私には、荷が重すぎた。
入口でチケットを渡すと、広々とした空間に歩きだす。
300人が暮らせると思える空間だ。
その壁際に、延々と料理が並べられている。
<延々>の表現が、曖昧なので、検証しよう。
試しに、私がトレイを持って歩こう。
何も取らずに、歩く。
プラプラプラ
タイム、1分30秒。
一度でも、バイキング料理で、口から泡を吹いている方ならば、
この<
トレイただ歩き時間>に、おののくに違いない。
このタイムでいかに多大な料理が並んでいるか、
お理解出来たかと思う。
では、本格的に、料理を略奪にいこう!
さっきは、ただ、長さを歩いただけだ。
その長さ分、料理が並んでいるのだ。
いったい、何品の料理があるのだろう?
トレイの皿を2枚ほど乗っけているのだが、
この戦闘態勢で良いのだろうか?
本気で闘うなら、往年の駅弁売りの格好をしてきた方が、
いいのではないのか?
いや、スーパーの買い物カートを押して、
略奪に加わる輩が現れても不思議ではない。
私達日本人は、<バイキング>と云う言葉を誤解している。
《奪うだけ奪う》と思い込んでいる。
《一気に奪う》とも思いこんでいる。
屈辱的な言葉で、表現するなら、
《早い者勝ち》が、バイキング料理だと思い込んでいる。
私達日本人と言ったが、私もその代表である。
格好つけをやめて、表現するなら、
《死ぬほど食う!》がバイキングだと信じている日本人だ。
よし、もっと格好つけをやめよう。
はっきり言おう。
バイキングの定理がコレだ!
《払った金額の、○○倍食ってやる!》
さあ、やれるものならやってみい、
この別府杉の井ホテルバイキングで!