<アダン>
この言葉を聞いて、全く反応しない方は、
アダンの恐怖に襲われた覚えのない方だ。
こんな文章を書いてみよう。
《パラシュートで落ちた所が、アダンの真ん中だった》
ギャアアアア~~!
悲鳴を挙げたのは、南の島に住んだことのあるお方だ。
さて、アダンとは何ぞや?
植物である。
アダンの実を好んで食べるヤシガニで有名である。
ノニジュースは、少し有名である。
何よりも、アダンを有名にしているのは、
その
トゲだ。
世の中に、トゲで世界に名を知らしめているモノと言えば、
バラであり、サボテンだ。
ところが、アダンは、さほど有名ではない。
しかし、そのトゲの実力は、バラ、サボテンの比ではない。
全身を強力なトゲで、包んでいる。
葉っぱの裏表すべてにトゲがある。
人間の腕ほどの太さの、屈強な茎が四方八方に伸び、
その全てが、トゲの鎧を被っていると言っていい。
さて、そのアダンの林に挑む人間がいた。
イシマルだ。
又、イシマルだ。
性懲りもなく、挑むイシマルだ。
自分の事を、
<環境整備人>と呼んでいる私が、
アダンが、あまりにも繁殖し、
人が通れなくなっている場所を開墾しようというのだ。
アイテムは、ノコギリと、草きりハサミだ。
ヘルメットもマスクも何もなく、アダンに挑む。
素人が、アダンを切ろうとすると、どうなるか?
一本の枝でさえ、30分以上の時間を費やす。
ど素人だと、傷だらけになって、泣いて帰るだろう。
ところが、
昨年から続けているアダン伐採で、
アダン切り名人となっている私は、
どんな太い幹でも、ものの
3回のノコギリ引きで、
断ち切れる技を身に付けた。
ジャ~コ ジャ~コ ジャ~コ
ドダ~ン!
たった一年で、私は
アダンの天敵となってしまった。