<間伐>
山の中に分け入る。
鬱蒼と森林がひろがる。
木は、適当に切ってやらねば、山には良くない。
そこで、私が入ってゆく。
今回のイシマル探検隊は、
<間伐>だ。
隊長含めた4名の隊員が、チェーンソーを担ぎ、
山を登ってゆく。
<ボタギ>を切り出そうというのだ。
ボタギとは、椎茸を養殖するための木である。
コナラの木に狙いをつける。
コナラは、相当な斜面に立っている。
40度を超える場所もある。
まず、切る木を定めなければならない。
なんせ、高さが20mほども伸びているのだ。
倒せば、
隣の木に枝が引っ掛かるのは目に見えている。
したがって、倒す方向にある木から、
まず伐採しなければならない。
しかし、その木も、
倒れる時に引っ掛かる可能性がある。
つまり、木を倒すには、チェスのようなヨミが必要なのだ。
ギャ~~~~ン!
山間に、チェーンソーのヒステリックな泣き声が響く。
生木は固い。
素人の我々には、
鉄を切っているかのような錯覚を覚える。
傾いている木には、ロープをかけて、倒したい方向に引っ張る。
引っ張る・・つもりだった。
我々は、木の重量を甘くみていた。
後に、切り刻んで、軽量したところ、
1トンあった。
1トン!
1トンの木を好きな方向に引っ張ることなど不可能だったのだ。
「たおれるゾオ~~~!」
地響きをたてて、コナラが倒れた。
う~む、反対側に倒れた。
コナラの幼木に引っ掛かっている。
コレを、ひとつ20~50キロの塊に切り刻む。
チェーンソーが泣き続ける。
かくして、総量1トンのコナラを担いで山を降り、
来年できる椎茸に想いを馳せるのだった。
300キロのコナラを乗せて