<ホウボウ>という魚がいる。
その名は、
あちこち方々に動き回るから付けられたと云う説がある。
その証拠に、あちこちで釣れる。
「おお、ここにもいたのか?」
釣り人に、暖かく迎えられる。
「オマエの刺身は旨いんだよナ」
釣り帰った家族に喜ばれる。
「オマエの
浮き袋が、珍味なんだよナ」
マニアックな釣り人が、喜ぶ。
私は、この魚に親近感を持っている。
あちこち方々に動き回っている私に良く似ている。
ホウボウは、海底に住んでいるのに、何故か、
羽を持っている。
かなり美しい羽だ。
トビウオは空を飛ぶために羽を持っているが、
ホウボウは、なんの為に羽があるのか?
羽の美しさで、襲ってくる敵を欺いているのだろうか?
それとも、
いつか空を飛ぼうと願っているのだろうか?
私は、浮き袋こそ無いが、空を飛ぶのは好きだヨ。
よし、ホウボウ君、君の頭の先から尻尾まで、
全部食べてあげる。
私の血となり肉となって、飛行機に乗って、
あちこちを旅しよう。
ホウボウに行こう。
(魚を食す言い訳を、無理やり考える私)