気仙沼の沖合に<大島>という島がある。
沖合といっても、泳いで渡れるほどの距離だ。
渡し船が、日に数便通っている。
夏には、避暑や、ピクニックで、
気仙沼市民の憩いの場所となっている。
北国にいる筈なのに、南国にいるような錯覚を覚える、
穏やかな島であった。
島の中腹にある旅館に宿をとった。
夜、遅く着いたので、ポツンとある旅館の回りは、
真っ暗であり、車のヘッドライトに、小動物?の姿が
チラホラ。
翌朝、目が覚めて窓を開けて驚いた。
素晴らしい景色が広がっている。
真っ青な海。
「裏の道を登れば、島の山の頂上に上がれるよ」
ご主人の言葉に、朝ご飯を掻き込み、玄関を飛び出す。
頂上に展望台があった。
広い太平洋に朝日が輝いている。
振り向けば、気仙沼の港から始まるこじんまりとした街並み。
緑なす北上山地の山々。
島には、小学校もあり、子供たちの楽しげな登校姿が見える。
「いい島でしょ」
やはり、眺めを楽しみにきた地元の方が、声をかけてくる。
『いい島ですね』
「いい島なんですよ、ここは」
『三陸海岸に、島があるなんて知りませんでした』
「不便ですけどね」
『ああ、橋がかかってないですもんね』
「でも、いい島なんで、好きだあね」
『ぼくも、好きになりました』
「また、来なさい」
『はい!』
みんな、高台に登ってくれただろうか?
走ってくれただろうか?