「急峻な岩がある、登りに行こう!」
ブ~~~ン
高速を東京から北に向かって、ひた走る。
行った先は、三陸海岸の宮古(みやこ)の岩場だ。
行って見て、驚いた。
「ど、どこから登るの?」
驚くのも無理もない。
海岸の波打ち際から、そのまま岩が
そそり立っている。
30~50mの高さで、今言った通り、そそり立っている。
フリークライミングをやっているとはいえ、
フリークライミングに燃えているとはいえ、
「こったら岩、どう登ったらいいべよ」
無理やり、ご当地弁で、嘆いてみるものの、
取り付くしまがない。
そんな時だ。
カチャッカチャッ・・
岸壁の岩場に歩き寄る人がいた。
外国人のフリークライマーだ。
確保点を尋ねると、指で示してくれた。
「岩のてっぺんに展望台があるから、
その柵に、ロープの確保をすれば、大丈夫!」
喋っている言葉を、私なりに要約すると、
ドイツ語(だったと思う)で、
「ザイル伸ばしてくれ!」
「海がきれいだ!」
「ダンケシェン」
あの岩も、悲しい午後に洗われたのだろうか?
岩に取り付いていた人はいなかっただろうか?
ダンケシェンの彼が、登っていなかった事を祈ります・・