~昨日からの続き~
揺れが続く、列車内で、
靴紐を結びなおしている。
普段から履いている運動靴の紐を締めなおしている。
震度5程度の揺れは続いている。
両足を結びなおし終えたら、次に、
靴下の中にズボンの裾を突っ込み始めた。
女性のスカートと同じく、男性のズボンの裾は、
走る時には、邪魔になる。
周りの何かを引っ掛ける原因になる。
「ただいま地震が・・」
すでに、5回以上のアナウンスが流れている。
次に、肩掛けのカバンを膝の上に乗せ、
肩掛けベルトを外し、
リュック形式に変更していく。
いつでもリュックに変更できるようなカバンを、
常日頃、持ち歩いているのだ。(モンベル製)
ここまでで、1分が経過した。
揺れは、まだ続く。
パニック映画だと、客は、
上方に視線を向ける。
なんたって、地下だ。
落盤を考える。
しかもアナウンスは、
上方から聞こえてくるという演技をする。
ところが、現実は違った。
皆の視線は、周りの人を見ているだけだ。
まだ、携帯を取り出す余裕のある人はいない。
ただ静かに、揺れている。
しゃがみこむ人もいない。
立っている人は、吊り輪を持ったままだ。
言い換えれば、地震前となんら変わらぬ、搭乗姿勢だ。
網棚に荷物を置いている人がいないのが、
幸いかもしれない。
私は、目を閉じた。
スカイツリー