<大歩危、小歩危> (おおぼけ、こぼけ)
四国は徳島県の山奥に、
激流をあざ笑うかのように付けられた地名だ。
実際、行ってみると、そのあまりもの険しさに、
腰がムズムズする。
<日本三大秘境>と呼ばれているらしいのだが、
思いっきり、頷いてしまう。
「遊覧船出ますよお~」
秘境だというのに、のどかなアナウンスが谷間に響く。
激流をものともせずに、観光船が就航しているらしい。
「乗りまあ~す!」
料金を払い。崖を、
これでもかと降りていくと、エンジン付きの船が待っている。
谷間には、コイノボリが、そよ風に揺れている。
船頭さんの合図で船は、濁流へ!
「はあい、四国はですね、このオオボケとコボケの間に、
褶曲山脈の頂点があるんですナ」
ふむ・・
「コボケでは、川の中の岩が斜めになっとるのが、
見えるじゃろう」
ふむ、見える。
「それが、だんだん水平になって、
やがて、オオボケでは、反対の斜めになっとるでしょうが」
ふむ、なってる・・
なるほど、太古の昔の造山活動が手に取るように、解る。
動く理科室に来た雰囲気だ。
船頭さんを先生と呼びたくなってくる。
「大雨が降るとじゃね、水かさが増して、
アノ高さまで、なるよ」
アノ高さ・・?
10数mほど上の所に、
アノと呼ばれる船の避難所があった。
ふと、なにげに、船の中の備品に目がいった。
最後に写真を乗っけるので、考察して欲しい。
コレは、救命具に違いないナ。
船が転覆したり、
アノ高さになったりした時に、
役にたつ
レスキューグッズだナ。
ふむ、しかし、この説明イラストは、なにゆえに、
こんな裸で、こんな格好をしているのだろう?