夜中に、寝室で、水を飲む。
その昔、父親の時代には、水差しが用意されていた。
フラスコの形をしたガラス容器に、水道の水を入れ、
コップを添えて、お盆の上に置いておくのである。
この水を飲むには、寝たままでは無理だった。
いったん上半身だけ起き上がるか、
せめて腹ばいになって、
枕に胸をのっけるかしなければならなかった。
するとどうなる?
目が覚める。
もう眠れない。
夜中に、水を飲むべきか、否かで悶々としていたのである。
さて、現代では、ペットボトルという利器が現れた。
こいつは便利だ。
寝たままで、手だけ伸ばせば、
キリっと捻って、グビっと飲むだけである。
布団から出る必要もなく、
目が覚めにくい。
水のみの達人(わたし)ともなれば、
夢を見ながら、水が飲めるとも言われている。
(ほんとかな)
朝になって、
「この水、誰が飲んだんだ!」
犯人を捜していると言う。
(ときおりある)
しかし、問題もある。
ホテルに連泊する折など、
「大きめの買っとこう」
コンビニで、2ℓのペットボトルを購入することがある。
こいつがやっかいだ。
夜中・・寝たまま・・
おっ・・ちと重いな。
キリキリっ
500mlのように、ひょいと口に持って来れない。
標高も高い。
口の方から、迎えにいかなければならない。
必然、
ヒョットコの口元になる。
やっと、ボトルの口に喰らいつき、
ゴポン ゴポン ゴポン
さあ、ここからが難しい。
口から外すタイミングに迷う。
どんなにすばやく、サッと外しても、
一回分の水、ゴポンが噴出す。
咥えたまま、あっち捻ったり、こっち捻ったりしてみるが、
らちがあかない。
しょうがない・・。
起き上がる羽目になる。
こんなことなら、最初から起き上がってればよかった。
目が覚めた。
2ℓを、目が覚めないで飲めるようになったら、
あらためて、<達人>を宣言します!