長電話が苦手である。
私に電話する時には、覚悟してもらわねばならない。
「沈黙した瞬間に、切られる」
相手が、
3秒黙ったら、プツリと切ってしまう。
たいして用のない電話だと、20秒もたない。
仕事の電話でも、1分が限界である。
さらに、私は、
相槌を打たない。
相手の話をただ黙って聞いている。
イエスかノーの時だけ、返事をする。
無駄に、「はい」も「ええ」も言わない。
友人の、相槌を聞いていると、一回の電話で、
私の生涯分の相槌を打つ人がいる。
「ええ、ええ、ええ、ええええ、、ええええ、、ええ、ええええ」
キツツキである。
「ハイ、ハイハイ、ハイハイハイハイ、ハイハイハイハイハイ」
ハイは、一回にしなさいと、親に叱られたものだが、
この方の場合、
ハイは一ケタにしなさいと叱られる。
さすがに、飽きてくるのか、
「ハイハイハイ、ハイ、ええ、ハイハイ、ええええ、ええ、はい」
ミックスしている。
それでも、相手に悪いと気にしているらしく、
「ハイハイ、ええ、あ~そうですか、ええ、ハイハイハイハイ」
文章も取り込んでいる。
こんな電話に慣れてしまった人が、私と電話で話していると・・
「聞いてる?」
受話器の向こうで、心配しだす。
さらには、時折、こんな事まで言い出す奴もいる。
「いる?」
そこに居るのか問うている。
受話器を置いて、飯でも食いに行ったんじゃないかと、
疑っている。
そしてさらには、受話器をコンコン叩いたりする。
何も、聞こえないので、
故障かと、確かめているらしい。
普段の会話でも、相槌を打たないので、
電話でも打たないだけに過ぎない。
「ちゃんと聞いてるから、安心しな」
という、気持ちは伝わらないようだ。
プルルルル~
(おっ、あいつから電話だ)
「なに?・・・(1分経過)・・わかった」ガチャリ。