「はい、真っ直ぐ前を見て、背筋を伸ばして下さい」
ピ~~ッ
器械から出てきた紙に、上の絵柄が写っていた。
私の足を、センサーの上の乗っけて撮影したものだ。
重量が掛った部分が、赤く表現されている。
靴を買おうと、靴屋のノレンをくぐったら、
この器械があった。
(今どき、靴屋にノレンは無いはナ)
(ま、昔から、靴屋にはノレンは無いはナ)
(言葉は、ちゃんと使わなくてはナ)
いやいや、画期的な器械である。
私の、アナタの、足の型に始まり、
歩き方まで解き明かされる。
挙句に、
「ガニマタです!」
とまで指摘される。
「偏平足です!」
はっきり言われて、あたふたするナカヒラ君がいたりする。
しかして、
「このような靴が最適でっせ・・」
柔らかく勧誘される。
ついつい、靴を買ってしまった。
それはそうと、冒頭の写真の私の足型を見よ!
何という<土踏まず>だ!
凹むだけ凹んだブリッジのような土踏まずだ。
そう、私の土踏まずは生まれてこのかた、
土を踏んだ覚えがない。
日の出前、土の上に私が、南を向いて裸足で立つと、
土踏まずの隙間に太陽が昇ってくるのが見えたという、
言い伝えがある。
(ほんとかな)
マッサージ師が、私の足の裏を押そうとして、
思わず、指が足の甲まで届いたという噂がある。
(ウソです)
小学生がイタズラで、画鋲をまいていたのだが、
私の土踏まずには、刺さらなかったという言い伝えがある。
(ホントです)
私の体が柔らかかったならば、
いつかやってみたい。
足の裏を合わせて、口のところに持ってきて、
ヨロレイヒー!