なんにでもマニアがいる。
マニアという言葉自体が、すでに、褒め言葉になっている。
今日登場するのは、この方だ。
<滝マニア>
テレビ東京の、テレビチャンピオンで、優勝した方だ。
<滝>の事なら、なんでも知っている方だ。
滝をこよなく愛し、滝に魅せられた一かいの市井人なのだ。
趣味・・滝、
されど滝・・命
人生・・・滝!
彼に連れられて訪ねた滝は、凄まじかった。
さすが、褒めちぎるだけのことはある。
我らが普段、観光で訪れる滝は、
それはそれで素晴らしい。
ところが、交通の便の悪い場所・・
すなわち、ハイヒールやスカート姿で、たどり付けない奥地に、
極めつけの滝が隠れている。
そう!
滝とは、
隠れている奴なのだ。
ランドサットの映像ですら、映っていない滝が、存在する。
隠れた滝は、
岩を削り、曲がりくねったあげく、
ドウドウとしぶきを挙げて、滝坪に落下する。
しかし、その肝心の落下場所は、鬱蒼と茂る樹木に覆われている。
航空写真系には、写らない。
発見するには、人の足にかかっている。
人とはマニアだ。
マニアの情熱に、発見のすべてが込められている。
「もうすぐですよ」
だいぶ前から、その言葉を聞いている。
2時間以上、すでに歩き登っている。
彼は、「もうすぐだ」というのだが、
いっかな滝は姿をあらわさない。
「うふふ、かくれ滝は、シャイだからね」
恥ずかしがり屋だからと言っている。
「イシマルさん、ここです」
ここですと言われて、ここを見ても何もない。
ただ、目の前に30mほどの絶壁が立ち尽くすだけだ。
「10m先に、滝があったらビックリしますか?」
もの凄い暗示を言う滝マニアの言葉に、
私は、久々に手品の仕掛けをみる思いがした。
崖に向かって歩いた。
10mも進まなかった。
5mも進んだところで、そいつは現れた。
ドドドド~~~!
びっくした・・
おどろった・・
高さ、10m以上の滝が、絶壁の壁の後ろに隠れていた。
絶壁と絶壁の隙間に、狂い落ちる水の奔流により、
滝坪は、異常に深く掘られている。
滝壺で泳ぐのがテーマのイシマルでさえ、
飛びこむのをためらった。
落ちたら死ぬ・・
そんな淵だった。
龍でさえ溺れる・・
そんな滝壺だった。
ランドサットでさえ知らぬ、そんなかくれ滝であった。
さすが超滝マニア!