昨日の遭難ツアーは、計画として、
2台の車を配し、
1台を別荘地帯の
ゴルフ場の駐車場に停めておいたのだ。
つまり、出発点と到着点が違う。
我らは、樹海の中を10キロほど徘徊し、
ゴルフ場を目指しているのだ。
「おお、ようやく別荘地帯に着いたゾ!」
久々の文明の香りだ。
あとは、ゴルフ場まで、すぐの筈だ。
え~と、地図によると、こっちに行けば・・
問題はそこで起こった。
一軒の別荘に、オジサンが犬を連れて佇んでいたのだ。
「ゴルフ場、どっちですかね?」
気軽に声をかけてみた。
この声かけが、大きな間違いだった事に後で気づく。
『遠いヨ、そこの角を左に曲がって、坂を下がって、
又登って・・遠いヨ』
遠いそうである。
我ら、道を間違っていたと指摘された。
しょうがない。
言われたままに、角を曲がり、坂を下る。
どんどん下る。
(あとで、登るって言ってたな)
どんどん下る。
なんやかや・・
1時間半の時間が過ぎた。
遠いと言っても、遠すぎる。
ボコッ
ついに、別荘地帯を通り抜け、牧草地にとび出した。
(誰かに訊こう)
一軒のお宅の扉を叩く。
「すみません、ゴルフ場はどっちでしょうか?」
『どちらの?』
「えっ、二つあるんですか?」
『ええ、大きいのと、小さいのと』
「この別荘地内にあるヤツですけど」
『ああ、はいはい・・』
教えてくれた。
最初に尋ねた、犬のおじさんの家の
すぐ近くだった。
犬のオジサンが教えてくれたのは、
別荘地から車で延々行くほどの距離にある、
遥か彼方のゴルフ場だった。
我らの車は、別荘地内のゴルフ場にあるのだ。
犬のオジサンの家から
5分の距離だ。
何ゆえに・・何ゆえに・・
何ゆえに、こっちを教えてくれなかったのだろうか?
5分と、90分。
我ら探検隊は、樹海では遭難しなかったが、
区画整理された別荘地で、遭難したのである。
樹海内の散歩道