「ワッ!」
突然、柱の影から驚かされた!
昨日、羽田空港にいた。
トイレに向かった。
空港のハズレにあるトイレで、ひとけがなかった。
トイレの前の柱の横に、小学生がいた。
(何をしているんだろう)
ま、気にせず、トイレに入った。
ほんで、出てきた。
その途端だ。
「ワッ!」
大きな声で脅かされた!
ピョン!
1mほど、跳び上がった。
着地した途端に、ヒザがガクガク揺れる。
エコ照明で、只でさえ暗い通路だ。
心臓がバクバクしている。
(なんだ、なんだ?)
見ると、さっきの小学生がびっくりして、私を見ている。
その先には、そのお母さんであろう女性が、
やはり目をまあるくして、私を見ている。
私は、事態を理解した。
そう云えば、トイレの中の個室がひとつ埋まっていたナ。
あそこに、少年のお父さんが入っていたのだナ。
そのあとに、私が入っていったのだから、
少年にしてみれば、次にトイレから出てくる人物は、
お父さんである。
そこで、柱の影で、息を潜めていたのだ。
「ワッ!」
脅かしたものの、知らないオジサンじゃないか?
しかも、このオジサン、とんでもなく高く跳び上がって、
転びそうになってる。
口から泡を吹きそうになってる。
(お母さ~ん!)
(あら、この子、お父さんと間違ってるじゃない。
バ~カねえ・・
ホラホラ、もうすぐお父さん出てくるわヨ)
私は、思わず落としたハンカチを拾いながら、
威厳を取り戻したフリをし、
背筋を伸ばしてその場を去るのだった。
(そういえば、ごめんなさいとか、なかったナ)
なんで、私はこんな目に、よく逢うのだろう?
つくづく、不幸である。
大分空港の荷物受け取りグルグル