《風に飛ばされる》
強風で、
身体ごと風下に吹き飛ばされる時に使う言葉だ。
さあ、そこで、風に詳しいウインドサーファーが、
この言葉を検証してみよう。
「堤防を歩いていたら、風で飛ばされたんだよ」
『ほお、で、どちらに?』
「どちらって?」
『風下? 風上?』
人間の身体は、面白いもので、
強い風に、立ち向かうのが、上手い。
二足歩行のわりには、踏ん張りが効いている。
風速20mでも、歩き続けることは可能だ。
ただし、条件がある。
<風が一定に吹いている>
一定でない状態を、
ウインド用語で、
ガスティと言うのだが、
風の強弱が激しいと、耐えられなくなる。
そこで、こう表現しよう。
アナタが堤防を歩いているとする。
そこに、突風が吹きつけてきたとしても、何とか耐えられる。
しかし、強風が吹きつけている状態から、
ふっと、
無風になると、人は耐えられない。
風上側に倒れるのである。
相撲で言うところの、<引きワザ>だ。
筋肉と神経が、引かれるワザについていけない。
「今日は、風に飛ばされてネ」
と言いながら帰ってきたお父さんは、
実は、風上に倒れたケースが殆んどである。
引き技に負けたのだ。
この引き技に対抗するには、
風上の建造物の観察しかない。
風を遮る物体がないのか、しっかり見るしかない。
「ほら、突風がきた!」
「ほら、無くなった!」
この言葉が、こう変わったら、アナタは、<風が見えている>
「すぐに、突風が
くる」
「すぐに、無く
なる」