「アッ、落ちた!」
テーブルの上から、皿が落ちる。
サッ!
足が出る。
サッカーのトラップ技術が、瞬時に行われるのだ。
床に激突する直前に、
足の甲で、やんわり受け止め、床にそっと落とす。
皿は割れなかった。
この行為は、頭で考えてできるものではない。
勝手に身体が反応するのである。
敏捷な運動神経が関わっている。
コレは、イチロー選手が、
ストライクゾーンを外れたボールを
ヒットさせるのに、似ている。
脳はNOと言っているのに、
身体が勝手に反応するのだ。
すまない。
私ごときの運動神経を、
イチロー選手と並べて喋ってしまった。
(恥を知れ)
さあ、問題は、皿じゃない場合だ。
先日、台所で鼻歌まじりで、料理にいそしんでいた時、
モノが落ちた。
サッ!
勝手に足が動いた。
モノを受け止めた。
受け止めたモノを見て、背筋が凍った。
<包丁>
たまたま、刃を外して受け止めたらしい。
それも、文化包丁だったから、まだましだった。
これが、刺身包丁や、出刃包丁だったら・・・
《包丁は、足で受け止めてはいけない》
などと、心に張り紙をしても意味が無い。
足は、もはや
私の意志と無関係の生き方をしている。
《落ちたものは受け止める》
例えば、スーパーで、棚から缶詰が落ちると、
迷わず、足が出る。
街中で、猫ちゃんを落としそうになった女性の足元に、
私の足がニュッと出て、
睨まれた事もあった。
私ごときで、このザマだ。
心配なのは、プロのサッカー選手である。
ご自宅では、台所に立たない方が賢明ですヨ。
ヒョウタン