<立ち食い蕎麦>には、ファンが根強い。
本格的な蕎麦屋より、そっちの方が好きだという御仁もいる。
毎日行かないと気がすまないという、マニアもいる。
数100軒は廻ったねと自慢しているおじさんもいる。
私だ。
立ち食いと云えば、麺も、おつゆも、
二流以下のものが出てくると云うのが定説だ。
早い、安いだけを追求していると考えられている。
さあ、そこで、今日紹介する店を見てもらおう。
もらおういいながら、すでに冒頭に写真を載っけている。
<恵み屋>
東京は京橋にある。
完全立ち食いである。
完全とは、イスが無いという意味だ。
蕎麦麺は、3種類選べる。
<だったんそば> <田舎そば> <めぐみそば>
どう違うのかは・・・よくわからん。
わからんが、本物志向である。
量も、小、普通、大、特大とある。
つけ汁も、冷たいのと温かいのと、ネギ汁というのがある。
カウンターで、注文し、お金を払う(安い)。
完全セルフ制である。
完全とは、片付けまで、全部という意味だ。
京橋に仕事をもつ背広のおじさんが、ぎっしり詰まり、
ズルズルやっている。
「ズルズル~はぁ~ズルズル~はぁ~」
飲み込んでは、ため息をついている。
カウンターに、ポットが置いてある。
何だろう?
傾けたら、蕎麦湯が出てきた。
なるほど、完全だ。
こぼした汁は拭けと、ダイフキが置いてある。
ホウキは置いてないので、掃除までは求められていない。
出口から吐き出される客の口元から、爪楊枝が出ている。
コレが、立ち食い蕎麦の王道だ。
立ち食い蕎麦の原点、江戸時代の侍になった気分になる。
彼らは、都会の雑踏に足を踏み出しながら、
ふっとつぶやく。
「立って、本格的な蕎麦を食ったな・・ゲフ」
蕎麦の花