「富士の青木が原樹海」と聞けば、
自殺の名所と恐れられている。
昼も鬱蒼として暗く、方位磁石も利かなくなる。
迷い込んだら出られない。
その通りである。
一人でフラリと行かないほうがいい。
二人で、デートする場所でない。
その樹海を私達は、大きな誤解をしている。
はい、アナタ、富士の樹海をこう思ってませんか?
《太古の昔から続く原生林》
太古ってからには、数百万年前・・
数千万年前・・
それは、大きな誤解です。
あの場所は、864年の<貞観の爆発>によって、
富士山から流れ出た溶岩で形成されたモノなのだ。
それが、900年ほど岩のまま、放っておかれ、
その後、300年かけて、現在の原生林が出来たのである。
つまり、
たった300年しか経っていない自然林なのだ。
アナタのウチの裏山だって、
数百万年前からあった原生林かもしれません。
一度、火山かなんかで、はげ山にならない限り、
山は繰り返し成長している歴史を持っている。
しかし、
恐れられているあの樹海は、実は、
おこちゃま原生林だったのだ。
「殿中でござる!」
吉良上野介が、額を切られた忠臣蔵の頃には、
まだまだ、背丈程度の木々が生える、
ちょろい草むらだったのだ。
武田信玄が、甲州街道を江戸に進んでいた時には、
溶岩だけがゴロゴロしている風景を見ていたのだ。
今、富士山が揺れている。
地震だの、地下水の異常放流だの、
コウモリの大量避難だの・・
実は富士山も、若い山である。
だって今の美しい形になってから、まだ
3000年ほどしか経ってないんだも~ん。
あの富士の形は、
今しか見られない形だも~ん。
ほら、やっぱ、誤解してたでしょ?
864年当時の溶岩流の溝跡