魚釣り番組を観たことがある?
釣り番組とは、基本的に、騒がしい。
釣れた時の感想を述べる番組なのだが、
実は、魚は滅多に釣れない。
したがって、釣れた時、必然大騒ぎする。
ふむ、それはいい。
テレビなのだから・・・
で、実際の釣り人はどうなのだろう?
例えば、アナタが今日、 乗合船に乗ったとしよう。
乗り合い船とは、見ず知らずの人達が、
お金を払って、同じ船に乗るシステム船の事だ。
「おはようございま~す」
ささやかな挨拶が、夜明けに交わされる。
それで、どうなるか?
会話はコレで終わり。
その後、釣りの現場に運ばれ、
船上では、静かな闘いが始まる。
釣り糸がからまって、
「すみませ~ん、ありがとうございま~す」
この会話以外、殆ど言葉を発しない。
たとえ、鯛が釣れようが、ヒラメが釣れようが、
静かに、事は続けられる。
釣りとは、静かな格闘技であると、知らされる。
さあ、そんな時だ。
ウワッ!
突然、どでかい魚が掛かったりする。
船頭さんも、大きなタモを用意して、
力コブを膨らませている。
船中にいる釣り人の注目の末に・・
今年一番の大きな鯛が釣れ揚がった!
オオオ~~~!
歓声が挙がる。
ところが、釣った本人は、いたって静かだ。
せいぜい喋って、
「ども・・」
これで、終いだ。
感激を表現しないのだ。
ただ、奥歯の奥で、かみ締めているだけなのだ。
さあ、ここからが面白い。
その御仁は、その日、自宅に帰った途端、 饒舌になる。
「いやあ~今日と~んでもなかったんだよ!」
喋る喋る!
いかに、魚と格闘し、釣り上げたか、
400字詰め原稿用紙30枚ほどの内容を、
ツバをとばしながら、家族に語る。
「はいはい・・」
台所の皿を洗っている奥さんに、
まとわり付くように、
400字詰め×30枚の英雄談を、ねほりはほり語る。
挙句に、
翌日、会社に行った途端、
「いやあ~昨日と~んでもなかったんだよ!」
400字詰めが、なぜか50枚に膨らんだ英雄談を、
部下に吹聴するのである。
ここで、疑問が湧く。
『じゃあなぜ、釣ったあの瞬間に大騒ぎしないの?』
なぜ、あんなに静かなの?
釣り番組みたいに騒げばいいじゃないの?
いいのです・・
嫉妬の目が、ごまんとある釣り船の上で、
騒いではいけないのです。
ここはひとつ・・大人になって、じっと我慢して、
おうちに帰ってから、爆発するのだ。
(んだから、おうちの人は迷惑だっての!)
会社に行ってから、爆発するのだ。
(んだから、会社の人が迷惑だっての!) イシガキ鯛
by ishimaru_ken
| 2012-02-03 05:07
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