動物園にいる熊や、象などの猛獣と言われるオリには、
ある一定の
谷間が設けられている。
熊が、我らを襲えないように・・と、
我らが、間違って、スリルを楽しまないようにである。
近頃の、サッカー場には、同じ工夫がなされてある。
ここでの猛獣は、観客の方だ。
ヨーロッパサッカーなどでは、試合の内容に憤慨した輩が、
グランドに飛び降りて、選手に襲いかかったりする。
一人ならまだしも、数百人がなだれこんだりする。
危ない。
そこで、
観客席とグランドの間に、深い谷が設営されている。
いくら興奮しても、あの谷を飛び降りる勇気はない。
たとえ勇気をだしても、その先の壁を登れない。
さすがに、下にヤリは立ててないが、
暴漢のキモを冷やすには効果がある。
こんな教訓を語ってみよう。
《山で遭難したら、下ってはいけない》
なぜか?
やみくもに下ると、いつか沢に出る。
沢と言ったって、急峻な崖だ。
そのうち滝が現れ、その横を下ろうとして、滑落するのである。
では、どうするか?
迷った場所に目印をつけ、いったん
尾根に登るのだ。
見晴らしの良い場所まで登り、自分の位置を把握する。
どうしても道が見つからない場合は、動かない。
下山を目指す場合でも、尾根を下ってゆく。
沢には、水の補給しか降りてはならない。
この話を踏まえて、サッカー場にアナタがいたとする。
突然の大きな地震が襲ってきたとする。
群衆は、逃げようと、なぜか階段を下る。
群衆が出口に殺到し、集中する。
圧死という痛ましい現象がおきる。
では、どうする?
もう、懸命なアナタは、おわかりだネ。
いったん登るのである。
群衆から離れる事が肝心だ。
これは逃げ遅れたのではない。
状況を客観的に観察できる自分をつくる。
高い目で見れば、どこから逃げればよいか判断しやすい。
ゴルゴ13は、ホテルに泊まる時、
必ず、最上階の非常口の横の部屋を予約するそうだ。
非情のスナイパーは、いつも猛獣に襲われ、
常に遭難しているらしい。