私の夢は、
《
枕崎に行って、
釣れたてのカツオを自分で捌いて、食べる》
釣れたてと云うところが肝心で、
自分で捌くというところも必須条件である。
結果を言おう。
猟師さんが、8キロのカツオを釣り上げた。
普段スーパーで売っているカツオは、
せいぜい2~3キロである。
包丁を持ち、マナイタの前で待っていた前掛け姿の私に、
その朗報が知らされた。
ゴクリっ、ノドが鳴る。
青空の下、漁港のまん前で始めた解体ショーに、
観光客が群がった。
カツオは、他の魚と捌き方が違う。
空中に持ち上げるような動きをする。
手に入れた8キロの魚体がズシリと私のカイナを揺らす。
最終的に、刺身にするのだが、
わざと大きな切り身にした。
一口では、とても口に入らない。
ステーキのような大きさだ。
食べてみた。
亡くなってから、まだ2時間しか経っていない。
身に強力な弾力があり、ブリブリ震える。
なかなか噛み切れない。
身の表面は滑らかで、舌や、口内を滑りまくる。
間違って舌を噛んでしまいそうだ。
味自体は、2~3日後のほうが旨いかもしれない。
コレは、まだ熟成されていないカツオのヌーボーである。
こんな大きなカツオを捌いたのも初めてならば、
釣りたてのカツオを食ったのも初めてならば、
ステーキのように厚く、手の平より大きな刺身を食ったのも、
初めてであった。