ウッドデッキに、ペンキを塗ろうと思った。
ウッドデッキは、二階にある。
問題!
柵の外側をどう塗るか?
乗り出して、塗るとどうなる?
落下する可能性がある。
《本日、ウッドデッキを塗っていた男性が、
柵の外側から落下し、重体をおいました》
アナウンサーの声が聞こえそうだ。
「そうか!フリークライミングだ!」
答えは、目の前にあった。
岩登りをやればいいじゃないか!
いや、岩下りをやればいいのだ。
気付いた私は、さっそく、
クライミングのハーネスを腰に装着する。
ロープを確保点に結びつけ、グリグリ(下降器)を握る。
「降りるよお~」
ベランダの柵を越える。
たかが、5mの懸垂下降だ。
普段、クライミングでは、
10~20mの壁を登り降りしているのだから、
なんと云う事はない筈だ。
ない筈だが、やはり、ビビる。
ペンキのバケツを持って、じわじわ降りる。
中吊り状態で、ペンキを塗っていく。
この形態は、あぶない。
昔々の喜劇映画のペンキドタバタの条件を満たしている。
手伝っているのは、ナカヒラ君と滝田くん。
私を入れて、3人だ。
3人いれば、文殊の知恵と言うが・・
私の脳裏には、昔々のアメリカ映画が浮かんでいた。
<三バカ大将>
危険だ。
きっと誰かひとりが、バケツをかぶる。
祈る・・その誰かになりたくない・・