<スクガラス>なるものがある。
というより、<スク>という名の魚がいる。
沖縄系の暖かい海で暮らす小さな魚だ。
アイゴという魚の稚魚である。
大きさが3センチほどになった頃、
網で捕まえられる。
そいつを塩漬けにしたものが、スクガラスと呼ばれる。
沖縄系の居酒屋に行くと、
このスクガラスを、豆腐の上に乗っけて出される。
豆腐の淡さと、スクのしょっぱさが、見事に合う。
身体は小さいのに、骨っぽい噛み応えをちゃんと供えている。
クツクツッ
歯で噛み砕かれる骨が音をたてる。
酒がすすむ。
人は、大きなものに惹かれやすい。
私は、小さいのも好きだ。
小さければ、可愛いではないか。
南国の空港のお土産屋で、
スクガラスの一ビンを買い求めると、
三ヶ月は、チビチビやれると豪語する輩もいる。
私だ。
冷蔵庫の扉をあけ、
スクのビンの水位が下がっているのを見つけると、
おもむろに、つぶやく・・
「そろそろ、南の島に行かんとならんナ・・」
三浦半島 京急田浦駅で見つけた居酒屋 <与論の風>