我ら人間は、地球の大気圏を突き抜けた。
といっても、代表が突き抜けただけである。
代表が、宇宙を知った。
代表は、息が出来ない事実を知った。
ある意味、生きていけない地獄である事を知った。
さあ、そこで、海だ。
水中を生きる生物(魚)で、
一度でも、空気の世界を知ったヤツは誰だろう?
まずは、水中から飛び上がるヤツを思い出そう。
《
トビウオ》
こいつは、空中を100m以上飛び続ける。
かなり飛ぶ事に慣れている。
たぶん、人間を見ている。
カモメも見ている。
トビウオは、魚界の、ガガーリンである。
《
ボラ》
海や、河口で、パシャッとしぶきが挙がると、
それは、ボラが跳ねたしるしだ。
ボラは、人生の大半を空中に跳ねて暮らしている。
日本人で、「ボラが跳ねた瞬間を見た事がない人はいない」
とまで言われている。
一度、ボラに訊いてみたい。
「オマエは、海中でイジメにでもあっているのか?」
《
こイワシ》
イワシの幼魚が、水面近くを群れをなして泳いでいる。
それを狙って、カツオやサバなどの回遊魚が、襲う。
すると、こイワシは、空中にジャンプする。
と言っても、小さな可愛いジャンプだ。
単体では小さいけれども、大量のこイワシがジャンプする。
その状態を、猟師言葉で、<ナブラ>と呼ぶ。
そのナブラに向かって、空から、F4ファントム並みの、
カモメがダイブするのだ。
こイワシは、せっかく幼少の頃、宇宙を見た筈なのに、
忘れてしまっている。
《
トビエイ》
普段は、水族館でしか見られないトビエイは、
読んで字の如く、空中を跳ぶ。
滅多に跳ばないが、跳ぶ・・・らしい。
証拠の写真が撮られているのだから、跳ぶらしい。
《
マンタ》
巨大エイだ。あの巨体で、空中に飛び出す。
《
マグロ》
大間のマグロが、空中に跳ねている映像がテレビにうつる。
ヤツらは、魚を追って、ジャンプする。
ヤツら的には、狩りをしているのだから、
その対象となる小魚しか見ていない。
せっかく、宇宙を見た筈なのに、目に入っていない。
残念なことだ。
《
マンボウ》
マンボウとは、あのマンボウである。
水族館でも、ぼんやりしているのが取り柄の、魚である。
レッカー車が、何も引っ張らずに走っている姿に似ている。
空を飛ばない魚コンテストを開催したとしても、
最下位にランクされそうなマンボウである。
飛べない魚の代表格の形状をしている。
ところが・・驚きである。
マンボウが、空を知っているそうなのだ。
飛んだところを見たと、報告が寄せられている。
釣り師が見たという報告が、寄せられる。
「あの巨体が空中を舞っていた」と、熱い知らせがある。
では最後に、なじみの深い魚を・・
《
イカ》
イカは、空を知っている。
私が証人だ。
ウソだというなら・・こちらを。
《イカが空をとぶ?》 トビウオの羽