<竹富島>(たけとみじま)
石垣島の港から、10分渡し船に乗れば、
小さな島に着く。
港には、レンタサイクルと、水牛車受付がある。
まずは、とりもなおさず自転車を借りる。
1時間300円。
キ~コキ~コ・・
坂道を登ってゆくと、石垣に囲まれた集落があらわれる。
ブーゲンビリアの赤い花がおびただしい。
さてと、昼飯でも・・
っと、その先の角から、水牛に牽かれた乗り物が登場した。
はは~ん、コレが観光写真で盛んにピーアールしてた奴だな。
水牛に牽かれて、ご町内を一周するレジャーだ。
ゆっくりゆっくり水牛車は動く。
案内のおじさんの声も、ゆっくりしている。
「水牛は、暑がりなんでサ~、時々、水をかけてやらんとサ~」
道の途中にある蛇口をひねり、
ホースで、水牛の背中にぶっかける。
水牛ってのは、牛とほぼ同じくらいの大きさなのだが、
背は低い。
つまり足は短い。
だから、踏ん張りが強く、定員19人の車を引っ張っていける。
とはいえ、歯を食いしばっているようにも見える。
目が血走っているようにも見える。
「定員5人くらいに、しちくれんかい」
うらめしい鼻息を吹きだしているようにも見える。
観光客が、次から次と上陸すると、何度も、かりだされる。
同じ道をグルグル廻る。
もう終わりかなと思ったら、まだ観光客が上陸する。
ところで、さっきから何度も出てくる言葉、
《水牛車》
コレをアナタは何と読んでました。
案内書にも案内所にも書いてあるのだが、
読み方がわからない?
《すいぎゅうしゃ》?
《すいぎゅっしゃ》?
《すいぎゅうぐるま》?
《水牛は悲しや、空の青、花の赤にも、たよらずさまよう》
若山牧水が詠ったような気がしないでもないが・・
結局、アノ面構えを見ちまった私は、
水牛車には、乗らなかったのである。
ごめんね、キミの仕事に協力できなくて・・
「海の上を歩いている水牛車があるけんど、アレはワシじゃないけんネ、アレは由布島だけんネ」
「あ~ちかれたぁ~」