雹が降った。
ひょうが降った。
ヒョウが降った。
<雹>という漢字を分解すると、
雨を包んでいる。
なるほど、物理的には、
雨を急激に包むと、ひょうになる。
そこで、かんがみる。
雹という漢字は、恐らく中国から来た文字通りの漢字だ。
では、その昔、日本では、ひょうの事を、
なぜ、ひょうと呼んでいたのだろう?
雹という漢字が伝来する前から、ひょうは降っていた筈だ。
氷の塊が降っていた筈だ。
パラパラパラ~
きゃあ~~
それを、古来の人達が、<ひょう>と、
口に出して喋ったはずである。
「おのおのがた、いま、ひょうがふっておる」
殿様も天守閣で、のたもうたに違いない。
では、殿様は、空から降ってくるその氷を、
どうして、<ひょう>と声に出したのだろうか?
「それはだね、氷が地面に落ちた時の点々が、
動物のヒョウ柄に似てるから、そう名づけたんだわサ」
ほお、なるほど、ヒョウ柄か!
確かに、点々模様はヒョウ柄だ!
ん・・待てよ?
日本に、ヒョウは居たんだっけ?
「それはだネ、<オヒョウ>と言って、
カレイの仲間で、体長1m以上になる魚がいるだよ。
でかいのになると、3mにもなって、300キロなんてのも・・
その背中にヒョウのような点々があるだでネ」
ほお、なるほど、点々がネ。
オヒョウ柄で、ヒョウですか?
で、空から氷が点々と降ったら、オヒョウに似ているってんで、
ヒョウですか?
ん・・待てよ?
それって、
「オッ、ヒョウが降ったって、ダジャレてません?」
晴れた日中、空が突然かき曇り、
パラパラパラ、降って来たのが氷だったら、どうなる?
キャア~~~!
うわ~~~!
ヒョオ~~~!
ん、今なんて叫びました?
ヒョオ~って言いませんでした?
ヒョオって言いましたよネ!
滅多に降らない氷ですよネ。
では、それに名前を付けましょうヨ。
ええ~と、ヒョウでいいですよネ。
殿様も、ヒョウって叫びましたネ。
ではアレが今度、空から降ってきたら、皆さん何と呼びますか?
はい、みんなで!
「ヒョウ!」