「ジャズは好きですか?」
この質問は間違っているかもしれない。
好きか嫌いかを問うなら、
クラシックは好きですか?
ロックは好きですか?
演歌は好きですか?
にすべきだ。
ジャズの場合は、こう問わなければならない。
「ジャスがわかりますか?」
この問いをすると、殆どの人が、
「わからない」と答える。
ジャズのコンサート会場にいると、
ジャズに造詣が薄い方(わたし)は、
なんとかツイテいこうとする。
なんとかワカルふりをする。
なんとか盛り上がろうとする。
なんとかしているうちに、回りで拍手が沸き起こり、
乗り遅れまいと、急いで拍手を叩き、
あげく、ピーピー指笛を吹いたりする。
造詣は薄いのだが、かなり興奮している自分を発見したりする。
ここで、最初の質問に戻ろう。
「ジャズは好きですか?」
私は、答える。
『うん、好きだ』
「では、ジャズがわかりますか?」
『え~と、わからん』
ふむ、
わからなくてもいいのが、ジャズでないかい?
私的なジャズの楽しみ方は、
<魔法の指先だ>
ピアノ、ドラム、ベースをかき回すあの指先だ。
あの動きは、手品師を遥かに超える、魔術師だ。
「な・・なにがどうなってんの?」
3倍速でやってくれても解らないほどの、魔法の動きだ。
俺ら役者、どんなに頑張っても、魔法は使えんでぇ~
ところが、ジャズメンは、それをいとも簡単にやってのける。
《生まれ変わったら、あの人になりたい》願望の中に、
私的には、ジャズメンが堂々入っている。
向こうが入れてくれるかどうかは別にして・・
ジャズメン 森山威男(もりやま たけお)