最近、私が出会った短歌を見てほしい。。
一市井の方が、詠んだ歌である。
<恩師>というお題がついた短歌の会で、発表されたモノだ。
《
別れの日 わが師は書きぬ 黒板に
汝らゆきて 大木揺すれ》
この歌を、出来れば声を出して、歌ってほしい。
その気があれば、二行目を大きな声で、叫んでほしい。
《
汝らゆきて 大木揺すれ》
実は、私は今、この歌に打ちのめされている。
私の恩師にも、大きな先生はいた。
しかし、かほど、
大きな大きな人生の指針を示してくれた先生はいない。
恐らくこの先生は、黒板に大書したあと、
しばし、生徒に背を向けたまま、肩を震わせていたに違いない。
自分が成し得なかった大きな夢を、託したかったのかもしれない。
若者の無限の可能性を、歌に託したのかもしれない。
この先生の驚くべき大きさは・・・
《汝らゆきて》
ここまではわかる・・
しかし、そのあと、どうすれば、このセリフが浮かぶのだろう?
《大木揺すれ》
うむ・・
私は、大木(タイボク)を揺すっただろうか?
揺すろうと思っただろうか?
この歌を詠った方は、大木を揺すれただろうか?
いや、そんな事はどうでもいい。
この言葉をかけて貰った恩師を、背に受けているだけで、
幸せかもしれない。
うちのめされているので、もう一回書く。
《
別れの日、わが師は書きぬ 黒板に
汝らゆきて 大木揺すれ》
こらアナタ、
同じく打ちのめされたからって、表に飛び出して、
街路樹を押しているのは、虫が落ちてくるだけで、
ちょっと、違うような気が・・・