どうやら、蚊が一匹住んでいるらしい。
その場所は、私の乗用車の室内だ。
この夏、その車に乗るたびに、
体のどこかが、痒くなった。
一箇所だけ痒くなった。
ポリポリ・・
まさか、車の室内で刺されているとも気づかす、
ただ、ポリポリしていた。
毎日々々、乗るたびに、ポリポリしていた。
そして、昨日、見つけたのだ。
プィ~~ン、飛んでいる姿を・・
ふむ・・?
ヤツは、私の血だけを頼りに、生きてきたのだナ。
この夏、個室の中で、
毎日やってくる私の血だけを、
ただただ待ち続けていた日々だったのだな。
一日一回吸える血が待ちどおしかったのだ。
ガチャリッ
扉が開くたびに、個室から逃げるのではなく、
愛とおしい私の身体にすがりついたのだ。
<一日一食>
禅修行の僧侶のような蚊が、そこにいた。
<一食満足>
南の島の、椰子の樹の下で憩う観光客のような蚊が、
そこにいた。
もはやここまでくると、叩いて殺すわけにもいかぬ。
血を分けた味方のような気がしないでもない。
<偏食>
私の血しか知らずに生きている蚊が、ここにいる。
by ishimaru_ken
| 2012-09-12 06:09
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