ホテルのシャワールームのコックをひねる。
ジャ~~
温度を調整して、まず洗顔にかかる。
石鹸をコネコネして泡をつくり、
顔面に塗りたくってゆく。
よし、シャワーにしよう。
ここで、私の動きがハタと止る。
目は開けられない。
ここのシステムは、
シャワーに変更するには、どうやるのだろう?
年がら年中、ホテルに泊まっている私だ。
毎回この場面で、動きが止る。
最初に確かめてから、コックをひねればいいのだが、
つい、湯水を出してしまう。
そのまま洗顔してしまう。
そこではじめて、下に向かって出ている水を、
シャワーに切り替えるのに、どうやるシステムなのか、
考え始めるのだ。
ホテルによって、様々なシステムがある。
・真ん中のコックを右や左にひねる
・端っこに、ひねるコックが付いている
・どこかに押すボタンがある
・取っ手を倒す仕組み
「じゃあ、適当に触ってれば、変わるじゃないですか」
そう思ったアナタ。
アナタはいつか、
熱湯を浴びて悲鳴をあげるでしょう。
ホテルによっては、水とお湯のコックが別になっており、
温水の調整をしなければならない。
適当に触っている時に、
水を止めてしまったらどうなる?
悪い事に、
シャワーに見事切り替わったらどうなる?
ギャアア~~!
上部から、熱湯が吹き出てくるのだ。
もしくは、
ギャアア~~!
冷水が振りかかってくるのだ。
そうならない為に、今、慎重に、
泡だらけの顔面の中に納まっている脳は、
両手に指令を出しているのだ。
指令を出しながら、ののしっているのだ。
「なんで毎回、コックをひねる前に確認しないんだよ!」